カードローンの在籍確認は携帯電話にしてもらうことは可能?
カードローンは本人の返済能力を審査してお金を貸すかどうかを決定します。勤務先の社名や所在地などを聞くだけでなく、本当にそこで働いているかどうかを確認するために審査の過程で「在籍確認」を行います。
その際に「会社の人にお金を借りることがバレないだろうか」などの心配があります。携帯電話で在籍確認をするのは可能でしょうか?
カードローンの返済能力を審査するのが在籍確認の目的
在籍確認の最大の目的は、「本当に申込書に記載した会社で働いているかどうか」を確認するためです。では、どうして働いているかどうかの事実を確認しなければならないのでしょうか?
在籍確認は返済能力の有無を調べるため
カードローンの申し込みは、自分の氏名、住所、年齢(生年月日)や勤務先の社名、所在地、電話番号などを記入します。ただ、これは自己申告です。申し込みを受けた金融機関はその内容をそのまま鵜呑みにすることはできません。もし偽名や他人になりすましていると困るからです。
申し込み内容が正しいかどうかを証明するために本人確認の書類として運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの提出を求めます。さらに本当にその勤務先に所属しているかどうかを確認するために、在籍確認の電話をかけるのです。これはそこに在籍していることがわかればそれでOKです。
収入などは聞かれません。借り入れ金額が少ない場合は収入を証明する書類の提出も不要ですが、確かに働いているということを確認するために在籍確認は行われます。
返済の催促を勤務先にするため、ってホント!?
一部のサイトでは「もし返済できなくなった場合に会社に催促(取り立て)の電話をするために、勤務先名や電話番号が合っているかどうかを確かめる目的で在籍確認の電話をする」と書いているケースがあります。しかし、これは金融機関によって異なります。
消費者金融が借金の取り立てとして勤務先に電話をかけることは「貸金業法」で禁止されています。例えば次のような行為は禁止事項です。
- 朝8時まで、または夜9時以降に電話をしたり、FAXや訪問したりすること
- 正当な理由がないのに勤務先などに電話やFAX、訪問をすること
- 取り立ての張り紙や立て看板などを使って周囲の人に借金があることを知らせること
- 他で借りて返済するように要求すること
- 家族などに代わりに返済するように要求すること
- 債務整理を弁護士などに依頼した旨を通知したのに取り立てをすること
このように正当な理由がなく勤務先に催促の電話をすることは禁止されています。ただし、「正当な理由」がある場合です。正当な理由とは、本人の携帯電話や自宅に電話をしてもつながらない場合などを指します。
銀行のカードローンは貸金業法の対象外
上記の禁止事項は消費者金融に対しての規制ですが、銀行は貸金業法ではなく銀行法の対象になるため、この規制は該当しません。では銀行のカードローンの返済が遅れたら、本当に勤務先に電話がかかってくるのでしょうか?
この対応は「銀行によって異なる」というのが正解になります。もちろん、銀行もいきなり勤務先に電話をしてくるということはありません。次のような流れで催促をします。
- 本人の携帯電話に電話をかける↓
- 自宅に電話をかける
- 封書で督促の手紙を送る
- 勤務先に電話をかける
本人に電話をして返済が遅れていることやいつごろ返済できるかが確認できれば、それ以降の催促は行われません。ただ、携帯電話につながらず、自宅電話もつながらない場合は書類が郵送され、それでも連絡が取れない場合はやむなく勤務先に電話をかけるという流れが多いようです。
ただし、この対応は銀行によってかなり異なります。銀行は根気よく催促をせずに、一定期間が過ぎれば訴訟を起こすというところもあります。いずれにしても、万が一返済が遅れた場合に勤務先に電話をかける可能性があるということも、在籍確認の目的のひとつだと言えるでしょう。
カードローンの在籍確認は携帯電話では意味がない!
在籍確認の目的を考えると、申し込み者本人の携帯電話にかけても意味がないということがわかります。
カードローンの在籍確認は簡単に終わる
カードローンやキャッシングなどお金を借りる場合は、ほとんどと言っていいほど在籍確認が行われます。ただ、その電話は個人名でかけてきて、やり取りの内容はとても簡単であっさりとしたものです。
在籍確認の電話は以下のような流れで行われます。
金融機関の担当者:「もしもし。□□(個人名)と言いますが、〇〇さんはいらっしゃいますか?」
勤務先の電話に出た人:「〇〇は今、席を外しておりますが、どのようなご用件でしょうか?」
金融機関の担当者:「いえ、急ぎではないので、後でかけ直します」
これで終わりです。勤務先の人が気を利かして「あとでかけ直させますので、電話番号を教えてください」とか、「伝言を伝えましょうか」などと言っても、「結構です」と言って電話を切ってくれます。
それはこのやり取りで〇〇さんがそこの会社に確かに在籍していることがわかったからです。もし在籍していなければ、電話に出た人は「〇〇という社員はおりません」と答えるでしょう。
本当に在籍していることを確認するのが目的なので、在籍確認はほんの数秒で終わってしまいます。
ところが申し込み者に携帯電話にかけても、勤務先に在籍しているかどうかはわかりません。そのため、携帯電話にかけてほしいというのは、まったく意味がないことです。申し込み時に金融機関に申し出ても受け入れてもらえないでしょう。
カードローンの在籍確認以外で携帯電話に連絡が入ることもある
在籍確認ではないのですが、カードローンを申し込むと金融機関から携帯電話または自宅に電話がかかってくることがあります。
それは申し込み内容に間違いがないかを確認するためです。最近は自宅に固定電話を置いていない人が増えてきたため、携帯電話にかかってくるケースが増えています。
自宅に固定電話がないことは審査には影響がないので、携帯電話で確認電話を受けるといいでしょう。
カードローンの在籍確認を携帯電話でしなければならない場合
カードローンの審査で在籍確認を受ける場合、勤務先に電話がない場合などがあります。例えば、次のようなケースです。
- 勤務先が大工さんや左官さんなどで事務所がなく親方も外で働いている場合
- 勤務先が個人事務所でいつも出払っていて電話が取れない場合
- 自分自身が個人事業主で自宅兼事務所という場合
- 派遣社員で派遣先が常に変わる場合
では、ひとつずつ見ていきましょう。
勤務先で電話が取れない場合
社長や親方などの経営者が少数の職員だけを使っていて、事務員さんを雇わっていないという場合があります。社長(親方)自身が外に出ていることが多いため、取引先とのやり取りは社長(親方)自身が携帯電話で行っているというケースです。
零細企業や個人事務所などがそうで、事務所を構えていない、または事務所に電話がない(電話に出られない)ところで働いている場合は、勤務先への在籍確認が事実上不可能です。
その場合は、カードローンを申し込む際にその事情を伝えてみてください。ただ、社長や親方の携帯電話にかけても、それが本当に経営者なのか、友人に協力してもらって携帯電話の対応をしてもらったのかわからないという疑問が残ります。
その結果、審査が通りにくくなる可能性があります。
自分自身が個人事業主の場合
最近はフリーランスとして働く人が増えています。自宅を事務所代わりにしたり、コワーキングスペースなどの共有スペースを事務所にしている場合は、在籍確認が取れません。
その場合は確定申告書や納税証明書などで所得を証明する必要があります。ただ、個人事業主は収入が不安定になりがちなので、審査は厳しくなるでしょう。(必要書類は金融機関によって異なるので、指示に従ってください。)
派遣社員で派遣先が変わる場合
派遣社員として働く人が増えています。派遣社員の在籍確認は基本的には派遣元(自分が登録している派遣会社)に電話がかかります。
ところが派遣会社は「登録している社員の個人情報はお答えできません」と、在籍しているかどうかすら答えてくれないケースが多く見られます。
一方、派遣先では個々の派遣社員の氏名などを把握していない場合がありますし、人によっては派遣先がコロコロ変わるケースもあり、在籍確認が困難になります。
この場合もカードローンを申し込んだ金融機関にそのことを伝えてみてください。必要に応じて収入証明書や派遣会社との契約書などの提出を求められることがあります。