他社借入ありでもキャッシングする方法は?審査は通りづらい?
他社で借り入れしている場合、キャッシング審査では基本不利になります。しかし、その借り入れを順調に返済し、借入残高も少ない場合は逆にクレジットスコアが高まり審査で有利になることもあります。
キャッシングを申し込むとき、他社の借入件数や残高を聞かれます。
「それってもしかして他社で借りていたら審査は通らないってこと?」と不安になりますね。
他社での借入があると、キャッシングの審査は厳しくなるのでしょうか?
他社で借入があってもキャッシングは申し込める
すでに他社で借入がありまだ残高が残っている場合、キャッシングは申し込めないのでしょうか?
答えは「NO」です。そんなことはありません。
キャッシングの利用条件を確認
キャッシングの利用条件を見てみましょう。大手消費者金融の利用条件は下記のようになっています。年歳は20歳以上ですが、上限は業者によって異なります。
- 20歳以上であること
- 本人に安定した収入があること
- 返済能力があること
- 当社(キャッシングを申し込む会社)の基準を満たすこと
銀行カードローンも利用条件はほぼ同じです。
また、銀行カードローンの場合は「保証会社の保証を受けられること」が条件になっています。保証会社はキャッシングを利用した人が返済できなくなったときに代弁(代わりに返済すること)をしますがその代わりに審査も行う会社のことで、アコムなどの消費者金融や信販会社などが該当します。
キャッシングの利用条件に他社借入は入っていない
これらからわかる通り、キャッシングの利用条件に「他社の借入」は入っていません。では、他社でどれだけ借りていても利用できるのでしょうか?
そのカギを握るのが「返済能力」や「信用度」です。
他社の借入がキャッシングの審査に与える影響
キャッシングの審査で重要なのは「返済能力」と「信用度」です。
返済能力は「貸したお金をきちんと返済できるかどうか、それだけの収入があるかどうか」ということです。一方の信用度は「過去に返済が遅れていないか」「自己破産や任意整理などをしていないか」といった「どれだけ信用できるか」を意味しています。
では、それぞれを見ていきましょう。
キャッシングの返済能力は収入だけでは判断できない
返済能力は収入だけで判断できるものではありません。例えば毎月の給料が50万円ある人でも、住宅ローンの返済が15万円、自動車ローンの返済が5万円、子どもの教育費に10万円払っている場合、それだけでも30万円も支払うことになります。もちろん生活費も必要です。そこに他社の借入の返済が5万円あるとしたら、新規でキャッシングの審査を通るのは難しくなるでしょう。
一方、月収が15万円の人でも現在も過去にも各種ローンもキャッシングもない人が消費者金融で5万円借りる場合は、審査に通る可能性は大きいと言えます。
要は収入と借入(返済額)のバランスが重要ということです。
消費者金融では他社借入額も重要なカギに
消費者金融は他社でどれだけ借りているかという「金額」が審査の重要なカギになります。
消費者金融には「総量規制」(貸金業法)あり、融資できるのは年収の3分の1までと決められています。しかも、この「年収の3分1」には他社の借入分も含まれるのです。なお、この場合の「他社」とは、他の消費者金融やクレジットカードのキャッシングが対象で、銀行カードローンや住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの目的ローンは含まれません。
例えば年収300万円の人のケースで見てみましょう。総量規制では年収の3分の1まで、つまり100万円までは融資が可能ということになります。
- 他社はどこからも借りていない……100万円まで融資が可能
- 消費者金融A社から30万円を借りている……70万円まで融資が可能
- 消費者金融B社から20万円、クレジットカードのキャッシングで15万円借りている……65万円まで融資が可能
- 銀行カードローンから30万円借りているが、消費者金融やクレジットカードのキャッシングは利用していない……100万円の融資が可能
- 銀行から住宅ローンを借りて残高が1500万円、自動車ローンの残高が100万円あるが、消費者金融からは借りていない……100万円の融資が可能
このように総量規制は消費者金融やクレジットカード(キャッシング)などの貸金業者からの借入が対象になります。なお、実際の融資額は審査の結果次第で変わります。
キャッシングの審査で信用度はかなり重要
上でご説明した通り、貸金業法では総量規制で年収の3分の1までなら融資が可能となっています。しかし、どんな人でも年収の3分の1までなら借りられるのかと言ったら、そういうわけではありません。
「この人に本当に貸しても大丈夫かどうか」という信用度を審査します。信用度は信用情報機関に登録内容を照会して調べています。
では次に信用情報機関と信用度についてご説明していきます。
他社借入は信用情報機関に記録されキャッシング審査に利用される
他社の借入状況(いつ、どこでどこの会社に、どれだけ借りたのか)といった情報は、信用情報機関に登録されています。
キャッシング審査で問いあわせる信用情報機関とは
信用情報機関は次の3つがあります。
信用情報機関 | 加盟している業者 |
---|---|
JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融、信販会社、流通系カード会社など |
CIC | クレジットカード会社、信販会社など |
全国銀行個人信用情報センター | 銀行、信用金庫など |
これらの信用情報機関には銀行(カードローンや各種ローン)や貸金業者、信販会社、クレジットカード会社のキャッシングなどを利用している(または利用したことがある)人の情報が登録されています。
「えっ!そんな情報、勝手に登録されているの?」と驚くかも知れませんが、これはローンやキャッシングの契約(申し込み)時に「個人情報の取り扱い」などで説明がされているはずです。
自分の個人情報はキャッシング申し込み時に信用情報機関に登録され、他社からも閲覧される
金融機関の「個人情報の取り扱い」には、次のような内容が記載されています。
-
① 個人情報の利用……当社が加盟する指定信用情報機関(以下「加盟先機関」)および加盟先機関と提携する個人信用情報機関(以下「提携先機関」)に申込人および契約者の個人情報が登録されている場合には、本申込時および契約継続中において、当該個人情報の提供を受け、返済または支払能力を調査する目的のみに使用します。
② 申込情報の加盟先機関への提供……当社は本申込に基づく個人情報(本人を特定する情報(氏名、生年月日、電話番号および運転免許証等の記号番号等)、ならびに申込日および申込商品種別等の情報を、加盟先機関に提供します。
③ 申込情報の登録……加盟先機関は、申込情報を照会日から6カ月以内登録します。
④ 申込情報の他会員への提供……加盟先機関は申込情報を、加盟会員および提携先機関の加盟会員に提供します。加盟先機関および提携先機関の加盟会員は、申込情報を、返済または支払能力を調査する目的のみに使用します。
⑤ 個人情報の加盟先機関への提供……当社は本契約に基づく個人情報(本人を特定するための情報、契約内容に関する情報、返済に関する情報、取引事実に関する情報)を加盟先機関に提供します。
⑥ 個人情報の登録……加盟先機関は個人情報のうち、本人を特定するための情報については契約内容、返済状況または取引事実に関する情報のいずれかが登録されている期間、契約内容および返済状況に関する情報については契約継続中および契約終了後5年以内、取引事実に関する情報については契約継続中および契約終了後5年以内(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)登録します。
金融機関によって書き方は多少異なりますが、趣旨は上記のような内容になっています。つまり、申し込みを受けたら、その人の個人情報(氏名・生年月日や申し込み商品、契約内容など)を信用情報機関に提供し、他の加盟会員(信用情報機関に加盟している金融会社)はその状況を支払能力の調査のために使用するということです。
他社の借入件数は何件までならキャッシングの審査に通る?
すでに他社で借入がある人は、「何件くらい借りていたら、キャッシングの審査に落ちるのだろう」「何件までなら審査はOKなのか」といったことが気になるのではないでしょうか。
しかし、残念ながらこれには正解はありません。
キャッシングの審査は他社の借入件数だけでは決まらない
信用情報機関には下記の内容が登録されています。
本人を特定するための情報 | (氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、勤務先電話番号、運転免許証等の記号番号など |
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契約内容に関する情報 | 契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額など |
返済状況に関する情報 | 入金日、入金予定日、残高金額、完済日、延滞、延滞解消など |
取引事実に関する情報 | 債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡など |
借入件数が少なくても、何度も返済が遅れていたり、残高が多い場合は審査が通りにくくなると考えられます。さらに、現在は借入がなくても、1年前に自己破産をしている…といったケースは審査には通らないでしょう。
他社のキャッシング借入がクレジットスコアを高めることはあるのか?
このように他社での借入の履歴のことを「クレジットヒストリー」と言います。この場合のクレジットとはキャッシングだけでなく、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローン、クレジットカードでのショッピングの支払いなども含みます。
こういったローンなどが利用できるということは金融機関の審査に通ったということなので、信用度は高いと判断されます。さらに、きちんと返済していると信用度はより高まります。この評価のことを「クレジットスコア」と呼びますが、実際には明確は点数は設定されていないとも言われています。ちなみに、クレジットスコアはアメリカではよく利用されていて、その人の信用度が点数化されています。
いずれにしても、ある程度の利用実績があると審査では有利になると言われます。逆に今までの人生で一度もクレジットカードやローンを利用したことがないという人は、「この人に貸しても返済してくれるのかどうか」という判断が難しくなります。それは過去の返済実績がないからです。
そういう意味で「他社で借入があり、返済していればクレジットスコアは高くなる」と考えられるのです。
キャッシングの他社借入の背景は何?
住宅ローンや自動車ローンなどの利用実績はプラスに見られますが、キャッシングの借入はどうでしょうか?一般的に考えて、わざわざ金利が高いキャッシングを利用するというのは、何かワケがあると想像できます。
自動車を買うなら金利が低い自動車ローンがあるし、子どもの教育費は教育ローンの方が低い金利で利用できます。それを利用せずに、金利が高いキャッシングを借りているということは、「貯金がなく、他で借りることができない人」と思われても仕方がないでしょう。
ただ、キャッシングの申し込みを受けた金融機関では、他社借入の事情や背景まではわかりません。そこで客観的なデータとして信用情報機関の登録内容や本人の年収などを元に審査を行うのです。
キャッシングの審査に落ちても理由はわからない
もしキャッシングの審査に落ちても、その理由は教えてもらえません。考えられる理由としては次のものがあるので、自分で思い当たるものがないか考えてみましょう。
- 他社の借入件数が多い
- 他社の借入残高が多い
- 返済に遅れたことがある
- 他社の借入額と新規融資希望額の合計が総量規制を越えている
- 過去に金融トラブルを起こしている
など
実際に審査に落ちる理由は複数の要素が絡み合っていることもあります。いずれにしてもキャッシングの審査に通るには、クレジットスコア(信用度)を高めることが大切です。